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遺言・相続・後見問題

特別縁故者に対する財産分与の申立てをご検討されている方へ

・長年連れ添ってきた交際相手Yが亡くなったが、籍はいれておらず正式に婚姻関係となることはなかった。しかし、生前Yが体調を崩した後は亡くなるまでの間、家事や病院の付き添い、介護といった身の周りの世話を献身的に続けていた。また生前の医療費や葬儀など死後の事務処理費用を支払い、葬儀の喪主を務めた。自らはYの相続人ではなく、Yには他に相続人となりうる親族もいない。この場合に、Yの遺産はどうなるのか、私がもらえる権利はないのか。

 被相続人が亡くなり、相続人が存在しない場合、利害関係人又は検察官の請求により、相続財産管理人(※清算人)の選任を家庭裁判所に申立てを行います(特別縁故者として相続財産の分与を請求しようとする者も当該利害関係人に該当するものとされています。)。その際、相続財産の額や事案の難易度に応じて、裁判所が決めた額の予納金を収める必要がある場合もあります。
 相続財産管理人(清算人)の選任後の手続について、法改正前は、①家庭裁判所による相続財産管理人選任の公告、②相続財産管理人による相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告、③家庭裁判所による相続人の捜索の公告の計3回の公告(期間としては10カ月間)が手続上予定されていました。
 しかし、法改正後においては、①と③をまとめて清算人選任時に6カ月以上の公告を行うこととし、②の公告をその期間内に満了するよう行うこととされ、公告期間が短縮されることになりました。
これに伴い、家庭裁判所が選任時に行う公告期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、
その権利を行使することができなくなるとともに、特別縁故者に対する相続財産分与の請求は、この期間の満了後の3カ月以内にしなければならなくなりました。
そして、上記公告期間を経て、ようやく特別縁故者に対する相続財産分与の申立てを行うことになりますが、民法では、「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に務めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、精算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる」と規定されています(民法958条の3)。
まず、①「特別の縁故があった者」の要件については、「生計同一者、療養看護者に準ずる程度に被相続人との間に具体的且つ現実的な交渉があり、相続財産の全部又は一部をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に被相続人と密接な関係があった者をいう」と解すべきとされています(東京家審昭和60年11月19日)。
 また、②財産分与が「相当と認めるとき」の要件については「特別縁故者との縁故関係の濃淡、度合、特別縁故者の年齢、職業、相続財産の種類、数額、状況、所在等一切の事情を調査し、これを斟酌して決定すべき」とされています。
 このように、特別縁故者に対する相続財産分与の請求が認められるためには、家庭裁判所に対し、十分かつ適切な資料をもってこれらを基礎づける主張を行い、認めてもらう必要があります。
 また法改正により公告期間が短縮したとはいえ、申立てまでの手続きは複雑でありかつ専門的な知識が必要となります。
 当事務所の弁護士の原は、これまで特別縁故者に対する相続財産分与の申立ての案件を複数扱っており、全てのケースにおいて特別縁故者の該当性が認められ、相当の財産分与を受けた解決実績がございます。
 自らが特別縁故者に該当するのではないか等といったお悩みを抱えている方につきましては、是非ご相談にいらしてください。
※令和5年4月1日施行の民法等の一部を改正する法律により、「管理人」から「清算人」に名称が変更となる他、相続財産の清算手続における公告手続についても見直されました。

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